動揺

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無事に式典が終わり、見咎められないうちにさっさと帰ろうと忍者ばりに気配を消して帰ろうとしたところ、目敏い部活の仲間たちに見つかってしまい、ほぼ羽交い締め状態で問答無用に連れてこられた同窓会の会場は、地元のホテルの宴会場。恩師の先生なんかも来ていた日にはバックレることさえ出来ない。だって俺、部活のキャプテンだし、さらにいえば生徒会長だし。 何となく居心地の悪いまま、遂に二次会にまで連行されてしまった。場所は地元の居酒屋。よくあるチェーン店で、同窓会からずっと飲み続けて潰れそうになってる同級生たちを横目に、淡々とグラスを重ねる。いいなー皆楽しそうだなー。ってか、こんなとこで何してんだろ俺。 さすがにバカバカしくなってきて、やっぱり帰るかと席を立った。そこそこ皆が酔っ払った今なら気づかれないうちに帰れそうだし、いい加減疲れた。 帰る前に、とトイレに向かう。相変わらず酔う気配すらない。分解酵素が優秀すぎる俺の身体。なんか、ワケわかんなくなるくらい飲んで、何もかも忘れてみてぇなぁ。そんでもう、一切合切記憶なくしてぇな。なんて下らないことを考えながら進んだ廊下の先に、彼がいた。
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