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そんなの、誰に言われなくても俺が一番よく分かってるっての。だって、ずっと彼のこと見てきたんだから。
好きになんてならなければ。
そう思う度にどうしようもなく思い知らされる。諦めきれない好きという気持ちが、自分でもコントロールできないほど膨れ上がって、持て余しているのに捨てられない。
他の誰かを好きになれれば、と何度試したか知れない。その度に絶望するだけで、近くにいても離れていても想うのは彼のことばかりで、ぞっとするほど浅ましく醜い執着で、俺は彼に恋をしていた。
もう止めたい。神様、もう限界です。
どうか、俺の中から彼をひとつ残らず消してください。
それが出来ないなら、いっそ記憶を全部消して、俺という人間を殺してください。
こんな想いを抱えたまま生きていくのは、しんどすぎるから。
その夜、俺は泣きながらシャワーに打たれ、自分の手で下半身の熱を解放した。情けなくて恥ずかしくて、もうこんな恋は終わりにしようと何百回目かの決意をした。それが叶わないってことも知っていたけれど、やりきれなくて苦しくて、その夜は一睡も出来なかった。
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