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翌日逃げるように地元を後にした。
明らかに様子のおかしい息子にかける言葉が見つからなかったのか、親は黙って背中をポンポンと叩いてくれた。いつも減らず口ばかり叩く妹でさえ、何かを察したのか
「…いつでも帰ってきてえぇんよ、お兄ぃの家はここなんやから」
と、泣きそうになる台詞を吐いてくれやがったので、歯を食い縛るしかなかった。
帰りの新幹線で開けた鞄の中から、俺の好きな具の入ったおにぎりと、子供の頃はよく妹と取り合いをした懐かしいお菓子が出てきた時には、いよいよ泣かせにかかってんなと思いつつも、あっさり策にハマって泣いた。
窓の外を見ているフリをして、頬杖をついた手で溢れそうになる嗚咽を押し込んだ。家族やべぇな。優しすぎてダメになりそうだ。
大丈夫、俺ちゃんと家族に愛されてるから。
だから、好きな人に好きと言えなくても、
好きな人に好きになってもらえなくても、
生きていけるよ。
たかが恋だろ。死にやしない。
だからもういい加減、今度こそ諦めよう。
素直にそう思えた。
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