帰省

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背中がビリビリと痺れるほどの電流が一瞬流れて、なんだ?!とパニックが起こる。 俺が?彼を?っていうか俺は、 男が好きだったのか? 物心ついた時から今現在に至るまでの記憶を大至急ひっくり返す。どこかに兆候はなかったか。俺が、男の子を好きだというサインが、どこかに? しかし、どんなに頭の中のアルバムをめくってみても、該当する記憶は見当たらなかった。今まで誰かを好きだなんて思ったことはなかった。さらに言えば、その彼のことも意識したことなどなかったのだ。 仲がいい、というほどでもない。勉強面では俺の方が成績は上だったし、運動は圧倒的に俺が勝っていた。容姿は、水と油ほどにも違いすぎて比較対象にならない。何もかも違う、むしろ共通点を探す方が難しいような相手だった。ライバルにもならん、ただの同級生。会話も接触も、他の同級生より少ないくらいだった。なのに、なぜ。 しかも、俺が?押し倒される側なのか? どう考えたって、誰がどう見たって、押し倒すのは俺の方だろう。だって、そんなの、キャラじゃない。
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