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俺は、明るく元気で誰もが憧れるクラスの人気者、ってポジションのはずだ。自分自身でもそのキャラに疑問を持ったことなんてなかった。なのに、俺が?
混乱する頭を抱えたまま、俺はその日、自分の性自認だけじゃなく性的な立ち位置まで自覚してしまったのだ。
どこからどう見ても左側のタチである俺が、実は右側のネコだったってことに。
次の日から、勝手に何となく気まずくなってしまった俺は、よそよそしさがバレない程度に彼と距離をおくようになった。
どこに惹かれたのか、どんなに考えてみても、何のきっかけも浮かばなかった。
ただ、キレイだとは思った。
彼の一挙手一投足が、ただただキレイだと思った。
俺たちみたいにガサツなガキんちょと比べて、彼は正しく王子様っぽいキレイさで純粋な感じがした。ピアノが弾けるとか、合気道を習ってるとか、一人っ子で親は医者だとか、そんな同級生としては知ってて当たり前の情報しか知らなかったけど、それ以上知ってしまったらこのモヤモヤした気持ちが手に負えなくなりそうで、わざと知らないフリをした。自分の気持ちに。
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