決意

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そのまま小学校生活は何事もなく終わった。中学生になって運動部に入った俺は、とにかく部活に打ち込んだ。厳しいキツいしんどいの三重苦だったけど楽しかった。何より、彼のことを気にする暇もないくらい打ち込める何か、が俺には必要だった。 相変わらず俺は学年の人気者で、色気づいた中学生らしく告白なんかもされたけれど、部活が忙しいって言い訳をしてすべて断った。彼も彼で、相変わらずキャーキャー言われていたのは知ってる。でも数多の女子に囲まれながらも、特定の彼女はいないようだった。田舎の中学生なんてそんなもんで、恋愛関係に疎くても疑われないのは俺にとってはラッキーだった。 そして、俺は一大決心をした。 高校は、東京の学校に行くことにしたのだ。 元々成績は群を抜いて良かった。でもこのまま、地元にいたら、俺は永久に彼から逃れられない。俺が学年1位で、彼が2位。ということは、進学先はたぶん被る可能性が高くて、この辺で一番の難関校といえば隣県の私立の男子校。…通学路まで一緒になるなんて、もう無理。限界。 これ以上、彼のことを気にし続けていたら発狂する。 隠しておくには肥大しすぎた、このヨコシマな気持ちが彼に知られる前に、逃げなければ。
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