6人が本棚に入れています
本棚に追加
悪夢の目覚め
夢の中で、真波は彼女と踊っていた。舞台の上、そろいの衣装を着て、互いに見つめ合いながら、互いの呼吸を読み合いながら。
頭の中は冷たく冴えわたっているのに、胸の内は熱く、今にも何かが破裂して飛び出してしまいそうなほど、様々な感情が吹き荒れていた。
右足、左足、右足、一回転して、両腕を上へ……。リズムを刻みながら、ステップを踏む。互いの場所を奪い合うように、あるいは互いの場所を譲り合うように、舞台の上にいくつもの円を描いていく。
――そう。これ――
月のように端正な顔立ち、氷のように冷たい表情で踊る相方の額や首筋から、汗がしたたり、動きに合わせて飛び散る。今、自分はどんな顔をしているだろう、そんなことを考えたのは一瞬だった。真波の意識は、すぐさま心地のよい感情のうねりに飲み込まれていった。
最初のコメントを投稿しよう!