悪夢の目覚め

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悪夢の目覚め

 夢の中で、真波は彼女と踊っていた。舞台の上、そろいの衣装を着て、互いに見つめ合いながら、互いの呼吸を読み合いながら。  頭の中は冷たく冴えわたっているのに、胸の内は熱く、今にも何かが破裂して飛び出してしまいそうなほど、様々な感情が吹き荒れていた。  右足、左足、右足、一回転して、両腕を上へ……。リズムを刻みながら、ステップを踏む。互いの場所を奪い合うように、あるいは互いの場所を譲り合うように、舞台の上にいくつもの円を描いていく。 ――そう。これ――  月のように端正な顔立ち、氷のように冷たい表情で踊る相方の額や首筋から、汗がしたたり、動きに合わせて飛び散る。今、自分はどんな顔をしているだろう、そんなことを考えたのは一瞬だった。真波の意識は、すぐさま心地のよい感情のうねりに飲み込まれていった。
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