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「新郎さん、もっと笑顔で~。はいっ」
バシャッ。
撮影した写真はそれぞれの自宅に
後日郵送してもらえるらしい。
「ティアラ着けたままダッシュで逃げられないかな……」
「あほか(笑)」
警備員にガン見されてるやろ。
「冗談だって(笑)」
悪戯っぽく笑いながら
ドレスを翻した実結の後ろ姿に
息を呑んだ。
ベールから透ける背中は
飛び付いてさらいたくなる。
今日の一番は間違いなく実結やろ。
夜までタップリ観光を楽しんで
ホテルにチェックインした。
狭いユニットバスのお風呂でも
必ず一緒に入る。
「実結……。痩せたなあ」
元から細い体をしているけれど
さらに細くなった気がする。
思えば夕飯も少し残してた。
「そうかな」
「そうやろ。ただでさえ脂肪の少ない胸がさらに小っちゃく……ぶっ!」
至近距離でお湯を掛けられ
それ以上は何も聞かなかった。
ちゃんと話を聞いておけば良かった。
素直になれない実結の心の奥を
見ようとしなかったのは
実結の深い優しさに
甘え過ぎてたからかもしれない。
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