1 Sな彼女とドSな彼

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「新郎さん、もっと笑顔で~。はいっ」 バシャッ。 撮影した写真はそれぞれの自宅に 後日郵送してもらえるらしい。 「ティアラ着けたままダッシュで逃げられないかな……」 「あほか(笑)」 警備員にガン見されてるやろ。 「冗談だって(笑)」 悪戯っぽく笑いながら ドレスを(ひるがえ)した実結の後ろ姿に 息を呑んだ。 ベールから透ける背中は 飛び付いてさらいたくなる。 今日の一番は間違いなく実結やろ。 夜までタップリ観光を楽しんで ホテルにチェックインした。 狭いユニットバスのお風呂でも 必ず一緒に入る。 「実結……。痩せたなあ」 元から細い体をしているけれど さらに細くなった気がする。 思えば夕飯も少し残してた。 「そうかな」 「そうやろ。ただでさえ脂肪の少ない胸がさらに小っちゃく……ぶっ!」 至近距離でお湯を掛けられ それ以上は何も聞かなかった。 ちゃんと話を聞いておけば良かった。 素直になれない実結の心の奥を 見ようとしなかったのは 実結の深い優しさに 甘え過ぎてたからかもしれない。
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