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恋に落ちる瞬間なんて
曖昧でわからなくて
好きを自覚し始めた時には
もう戻れない所まで進んでいる。
紀樹的恋愛観は
"去るものは追わず、来るものは拒まず"。
恋心と下心の境界もあやふやで
知らぬ間に相手を傷付けてた。
その頃から何も成長していない。
サヤカが毎日のように
年下彼氏のふなっきーについて
どうでもいい事まで逐一リポートするのを
兄貴のような気分で聞いていた。
給湯室でコーヒーを入れる。
ペーパードリップから滴る液を
ぼーっと眺めてると
後から来たサヤカが顔を見るなり
勝手に恋愛相談を始める。
「今夜ちょっとだけ会えるんです。 西川さんはパンツとスカートどっちの方がいいですか?」
しかも内容は高校生レベル。
「女はスカート以外はくな。以上や」
「え〜? 太い足を見るならパンツの方が良くないですか?」
聞いといて反論すんな(汗)。
「ふなっきーはその太い足に欲情するんやろ。だったら出していけ。ロングスカートもあかんからな?」
一瞬サヤカが頬を赤らめる。
「えぇ〜? 私にはミニスカートはとても無理です……」
若い子には負けるわ、ってか。
「あほか。見た目より男心をつかんで来い」
「スカートでつかめますかね〜?」
「つかめるやろ」
童貞を卒業したばかりの男なんて
性欲のブレーキの仕方を知らんはず。
スカートの威力は絶大。
「でもな〜……」とブツブツ言いながら
湯呑みを洗うサヤカに
コーヒーを飲み終えたマグカップを渡す。
泡立ってる手で受け取って洗う。
こういう姿は
アライグマにも
見えなくはないか(笑)。
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