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「ん? 何これ??」
ふなっきーと会った翌日は
無駄に女子オーラを放つサヤカが
郵便物の封を開けて呟いた。
チラッと横目で見る。
長崎のホテルから送られてきた
西川紀樹様宛の分厚い封筒……。
「うわっ! 見んな!!」
慌てて奪い取ろうとして
中身が床にばら撒かれた。
開いた台紙をサヤカが拾い上げた。
「わっ。西川さん、いつの間に結婚されたんですか〜?」
「ちゃうわ! ニヤニヤすんな。気持ち悪い」
白いタキシード姿の紀樹と
純白のウェディングドレス姿の実結が
笑顔で手を握り合っている写真を
急いで閉じた。
「何が違うんですか? あ、前撮り??」
「そんなんちゃうねん。無理に撮らされただけやねん……」
自宅住所と間違えて
会社の住所を書いてしまった事に
自分でショックを受けた。
どんだけ仕事でいっぱいやねん。
「無理にって西川さんの方が嬉しそうな顔して写ってるじゃないですか〜。やー、お幸せそうでいいですなあ」
そりゃ嬉しくもなるやろ。
圧倒的に美しい自分の女に
惚れ直した瞬間やったんやから。
「ほっとけ。お前はふなっきーと結婚して幸せになる事だけ考えてろ」
「私は結婚はもういいです〜」
「何で?」
「結婚も離婚も大変ですからね……。子供が出来たとか大きい理由がないと次は踏み切れないかもしれないです」
「ふーん。俺にはよくわからん」
子供は結婚した後に考えるもんやと
決め付けてる方がおかしいんやろか?
「結婚したらわかりますよ。好きだけじゃ乗り越えられない事が色々あります……」
アライグマが偉そうに(笑)。
「何で離婚したん?」
「経済的困窮です」
「そ、そっか。聞いて悪かったな」
俺の胸にもグサリと刺さった。
経済力がない男は結婚できないと
改めて感じさせられた。
「もう過去の話なんで平気ですよ(笑)」
「それならええけど」
「恋愛は夢、結婚は現実ですよね」
「名言やな(笑)」
結婚は現実。
若い頃は結婚にも夢を感じてたのに
その言葉が地雷になって
踏まないように歩くようになった。
それは逃げになるんかな。
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