1 Sな彼女とドSな彼

22/30
前へ
/32ページ
次へ
「実結、パンツ見えそうやで」 潮風が強くてスカートがひらめく。 青い空に白いミニスカートが眩しい。 「バカッ!」 太ももまでチラ見えする足が 砂を蹴り上げた。 「うわっ! 砂かけんな」 靴に掛かった砂を払う。 「海水じゃないだけ有難いでしょ?!」 全くどいつもこいつも ああ言えばこう言う。 波打ち際を歩いていると 実結がピタリと足を止めた。 「紀樹、キスして?」 「はあ?」 周りには潮干狩りに来ている家族連れが わんさかおりますけど。 「前はココでしたじゃん」 言われて気が付いた。 付き合って初めてキスした浜辺か。 「あれは夜やんか(笑)。真っ昼間から何を考えてんねん……っ!」 実結が少し背伸びして唇を奪う。 「隙あり♡どうせ誰も見てないよ」 「あのなー……」 今日はずっと何か変だ。 でも 機嫌が悪いようには見えなかった。 そばの公園でベンチに座る。 手作りの弁当を食べ終えると 実結は地面にしゃがみ込み シロツメクサで器用に花冠を作った。 頭に乗せてゴソゴソと地面を這う。 「何やってんの?」 「四葉のクローバーないかなって思って」 妖精みたいに可愛い微笑み。 「そう簡単には見つからんやろ(笑)」 「紀樹も探してよ~」 「休憩してからな♪」 「探す気ないよね」と実結はふくれながら 沢山のクローバーをかき分けていた。 一緒に探してやれば良かったな。 くだらないことに夢中になって 頑張ってる実結を見てるのが 楽しかっただけやねん。 最後まで諦めずに 見つかるまで探してやれば良かった。 幸運の四葉のクローバーは 実結一人では見つけられなかったのに。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加