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「実結、パンツ見えそうやで」
潮風が強くてスカートがひらめく。
青い空に白いミニスカートが眩しい。
「バカッ!」
太ももまでチラ見えする足が
砂を蹴り上げた。
「うわっ! 砂かけんな」
靴に掛かった砂を払う。
「海水じゃないだけ有難いでしょ?!」
全くどいつもこいつも
ああ言えばこう言う。
波打ち際を歩いていると
実結がピタリと足を止めた。
「紀樹、キスして?」
「はあ?」
周りには潮干狩りに来ている家族連れが
わんさかおりますけど。
「前はココでしたじゃん」
言われて気が付いた。
付き合って初めてキスした浜辺か。
「あれは夜やんか(笑)。真っ昼間から何を考えてんねん……っ!」
実結が少し背伸びして唇を奪う。
「隙あり♡どうせ誰も見てないよ」
「あのなー……」
今日はずっと何か変だ。
でも
機嫌が悪いようには見えなかった。
そばの公園でベンチに座る。
手作りの弁当を食べ終えると
実結は地面にしゃがみ込み
シロツメクサで器用に花冠を作った。
頭に乗せてゴソゴソと地面を這う。
「何やってんの?」
「四葉のクローバーないかなって思って」
妖精みたいに可愛い微笑み。
「そう簡単には見つからんやろ(笑)」
「紀樹も探してよ~」
「休憩してからな♪」
「探す気ないよね」と実結はふくれながら
沢山のクローバーをかき分けていた。
一緒に探してやれば良かったな。
くだらないことに夢中になって
頑張ってる実結を見てるのが
楽しかっただけやねん。
最後まで諦めずに
見つかるまで探してやれば良かった。
幸運の四葉のクローバーは
実結一人では見つけられなかったのに。
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