1 Sな彼女とドSな彼

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やばっ! 今何時?! ガバッと起き上がると 実結はまだ眠っていた。 午後八時を回っている。 子供の寝顔は天使だというけど 実結の寝顔に勝てるわけない。 起こすのはもったいないけど……。 キスを繰り返すと薄っすらと目を開けた。 まどろんでる実結の耳元で 「挿れていい?」と聞くと 弱々しく頷く。 全身の力が抜けていて まだ覚醒しない体を揺さぶる。 夢うつつだった実結が パッチリと目を開けた。 「……変態」 「何とでも」 睡眠があれば回復できる。 俺も意外と若いやん。 最後の晩餐はオムライスだった。 卵がとろけるタイプのやつに 実結は一時期ハマってたのを思い出す。 家の前まで送ると アイスが食べたいと言うから 近所のコンビニで買ってやった。 公園のベンチで分け合って 時計を見ると既に十時を過ぎていた。 「実結も明日仕事やろ? そろそろ……」 「うん。その前に話がある」 「何?」 暗くて表情はよくわからない。 黙ったまま俯いてるその手を 握ろうとした俺を避けて 実結は呟くように言った。 「私たち終わりにしよう」 ハナミズキが風に揺れる。 木々がざわつく。 今なんて? 終わりにしよう。 風の音と一緒に すり抜けた言葉を拾う。 「実結? 終わりって何?」
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