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人前に出るのが仕事の営業部と違って
裏方で黙々と仕事をこなすシステム部は
"いかにも"な男ばっかり。
地味で大人しくて
年齢層が若い割に活気がない。
そんな空気の中で
(よう喋るやっちゃなー……)
普通の神経なら私語はためらうやろ。
始業時間ギリギリに来て
隣の席に座ったサヤカは軽く挨拶して
嬉しそうにコンビニの袋を見せる。
「西川さん、新商品のチョコ買って来たんです。食べません?」
しかも食い物の話が多い。
「ええわ。俺あんまチョコ好きちゃうし」
痩せたいと言う割に食い過ぎやねん(笑)。
「ええ〜? いっつも引き出しにM×Mチョコ入ってますよね?!」
「あ、あー……」
M×Mのチョコレートは
実結がいつも食べていた。
俺はマーメルチョコ派やって言ったら
キレられた。
『間宮実結のイニシャルはMMで西川紀樹のイニシャルはNNなんだから、M×Mを食べるべき』
無茶な実結論でM×M派にさせられた。
それ以来
糖分補給にM×Mを食べている。
「脳の活性化にチョコが必要やからな」
「脳の事を考えたらアーモンドチョコがいいって言いますよ」
「そうなん? アーモンドって何かあるん?」
「さあ?」
「知らんのかい! もうええわ。働け」
「怒らないで下さいよ〜」
サヤカは笑いながら
バンバンと紀樹の背中を叩く。
「痛ったいわ、あほ!」
「そんな強く叩いてませんよ〜」
全くああ言えばこう言う……!
「あのなぁ……」
「あ! 山田くん、おはようございます。新商品のチョコ食べない?」
人の話を最後まで聞かない上に
まるでシステム部のオカンのように
すっかり皆に馴染んでる……。
驚いたのは馴染む早さだけじゃない。
「岸谷さん、来週好きな子の誕生日なんです。プレゼントは何がいいですかね?」
山田から恋愛相談を受けるくらいに
信頼を寄せられてる事に驚いた。
「ん〜、まだ付き合ってない相手ならお花とか喜ばれるかもね」
見かけによらず乙女な回答にも驚く。
「わかりました。頑張ります!」
山田の口から恋バナが出たことに
一番驚いたけど。
お花……なあ。
そろそろ実結姫様のご機嫌の悪さも
どうにかせな、な。
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