6 疾走

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6 疾走

私たちを取り巻いていた、光を遍く吸い込むが如き漆黒の闇が急速に薄れ、そして消えて行く。 そう、夢の世界を抜けたのだ。 今、私たちを取り巻いているのは、鏡の如き円い月、そして砂金の如き星々が燦然と光を降らせている天鵞絨(ビロード)の如き夜空であった。 私たちは月の光が織りなす、夜空に架かる虹の橋の上に立っている。 月の光が織りなす、銀色の羅紗のような虹の橋。 夢と現世(うつしよ)との狭間に在るかのような虹の橋。 雲を遙か眼下に見下ろすような高さに架かる虹の橋。 「よし、行こう!」 私は皆に合図する。 柴犬、リスザル、そしてインコは頷く。 そして、私たちは虹の橋を駆け始める。
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