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月が西へと傾くにつれ、
虹の橋は次第次第にその幅を狭めていく。
もう少し時が経てば、そしてもう少し駆ければ、
この虹の橋も途切れるだろう。
我々が駆けた後に残される金色の粒子も
途切れ気味になってきた。
虹の橋の端に辿り着き、
そこから夜空へと踏み出せば、
我々は現世へと戻るのだ。
今宵の『猫泥棒』はそれで終わりとなる。
虹の橋の端が視野に入る。
今宵も無事に『猫泥棒』を成し遂げられたとの安堵感が心を満たし始める。
そして、仄かな寂しさもまた込み上げてくる。
虹の橋の端、そこに小さな影を認めた。
あれは・・・随分と懐かしい姿だ。
じんわりとした喜びが私の心に湧き上がってくる。
驚きと、そして深々とした悲しみと共に。
その小さな影へと駆け寄る。
その小さな影の主へと声を掛ける。
「ツヨシ君、久しぶり!」
そう、その小さな影の主は、
先代の柴犬の『猫泥棒』であるツヨシだった。
ツヨシは答える。
「こんばんは、あきのりさん」
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