7 再会

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あきのりさん以外の『猫泥棒』たちは、 みんな虹の橋から夜空へと降りていった。 きっと今頃は現世に戻って、 それぞれの夢の中に居るんだと思う。 あきのりさんと僕は、 もうだいぶ細くなった虹の橋の上に腰掛けて、 一緒に夜空を見上げている。 銀の光を浴びながら、僕たちはポツポツと話とする。 僕は、『猫泥棒』を引退した後の話をする。 僕が『猫泥棒』を引退してから、もう六年が過ぎた。 六年の間には、色んなことがあったんだ。 安永さんちの子どもだったお兄ちゃんと美佐子ちゃんは、もう随分大きくなっちゃって「しゅうしょく」し、家を出て行っちゃった。 お家に帰ってくるのは時々になっちゃった。 一緒に暮らしていたキジ猫のヤヨイは、 去年に「猫世界」へと旅立って行ったんだ。 あきのりさんは、今晩が最後の『猫泥棒』だった。 今度の満月の夜に、次の『猫泥棒』へとその役目を引き継いで、『猫泥棒』を引退するそうだ。 『猫泥棒』を引退したら、『猫泥棒』に関する記憶の一切を失ってしまう。 それも仕方無いんだと思う。 それは、生きている者が知るべきではない話だから。 『猫蟲』の存在も、「夢の世界」のことも、『猫泥棒』の役目も、そして、夢の世界と現世との、「幸せ」に関する仕組みの話も。 あきのりさんは『猫男爵』の話をした。 今夜は『猫男爵』を撫でさせてもらったんだって。 あきのりさん、凄く嬉しそうだった。 でも、寂しそうだった。 『猫男爵』と会うのも、今夜が最後だったから。 『猫男爵』との思い出も、今度の満月の晩に次の『猫泥棒』へとその役目を引き継いだら、全て失ってしまうから。 あきのりさんと『猫男爵』、そして、『猫泥棒』の話をした。 『猫泥棒』のことは、三日前に思い出したんだ。 それまで『猫泥棒』のことはずっと忘れていて、 普通の柴犬として過ごしていたけど。 久々に思い出したら、『猫泥棒』だった時よりも、 色んなことが分かるようになっていた。 そのことを、あきのりさんに話す。 本当は、話しちゃいけない事なんだと思う。 でも、あきのりさんは、もう『猫泥棒』を引退しちゃうから許されると思う。 「『猫男爵』って、  『猫泥棒』の創始者の一人なんだよ。」
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