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3 襲名
満月の夜、それが僕たち「猫泥棒」出動の刻だ。
散歩の後にごはんを終えた僕は、普段より少し早い時間に寝床へと向かう。
一緒に住まうキジ猫のヤヨイは、俺より一足先に俺の隣の寝床で丸くなってスヤスヤと眠りについている。
つい先程、「猫蟲」が出て行ったみたいだ。
はぁ・・・今夜も無事に事が済めば良いけど。
寝床に入って横になり、そして、祈るような気持ちで目を閉じる。
散歩の心地よい疲労感、そしてごはんの満腹感とが、僕の意識を眠りの世界へと誘っていく。
現実の世界から夢に落ちるまでの僅かな間、僕は「猫泥棒」になったいきさつを思い出す。
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