告白

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「あ、あの、降ります」  ホッとしたのも束の間、光輝さんは僕を横抱きしたままで校舎へ入ってしまう。おろおろしてると、そのまま保健室へ運ばれてしまった。 「失礼します」 「あらあらどうしたの?」  保険医の先生が振り返る。  五十代くらいかな。お母さんよりちょっと上に見える先生。 「貧血かもです。道端で座り込んでたので連れてきました。一年生です。よろしくお願いします」 「まぁまぁ、ありがとうね。あなた顔色は……悪くないわね? 熱があるのかしら? お名前は? 何組かしら?」 「……二組の、桜園路です」 「おうえんじ君ね? 今朝はなにか食べた?」 「あ、いえ……」  光輝さんに抱っこされたまま答えるのが妙に恥ずかしい。 「そう。職員室に連絡しとくわね。光輝君、おうえんじ君をベッドに寝かせてあげて。ジャケットは脱がせてあげてね。靴下もね。あと、これで熱も計ってあげて」 「はい」  窓際のパイプベッドへそっと下ろされる。  光輝さんはカーテンを閉めて、ベッドをアイボリー色の布で隠した。ジャケットに手をかけ、ふと僕を見る。 「脱がせていいか?」  自分で脱げばいいのに、僕は黙って頷いていた。 「今日は蒸し暑いから、ネクタイもしなくていい。もう夏服移行期間に入ったから」  光輝さんはそう言いながら、ジャケットを脱がせ、ネクタイを解いた。首元にエアコンの空気が触れる。すごく暑い気がしたけど、体温計で測ったら平熱だった。 靴下まで脱がせてもらってベッドへ横になる。  布団をかけながら、光輝さんが僕の顔をジーッと見た。  落ち着いていたはずなのに、またじわじわと頬に熱が昇ってくる。大きな手のひらが額に触れドキッとした。その手は頬を撫で、両方の瞼を覆った。  真っ暗でなにも見えないけど、温かい。 「昨日、あんまり寝てない? 目の下にクマができてる」
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