告白

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 ◇ ◇ ◇ 「おーい。さくらぁ」  体がゆさゆさ揺れて、目を開けると田辺君がいた。 「あ……、おはよお」 「どう? 調子。昼飯いけそう?」 「もうお昼?」  のそのそと体を起こすと大きなあくびが出た。 「うんうん。朝はひどい顔してたけど、だいぶいいじゃん。食えそうなら行こうよぉ」  朝食も摂ってないからお腹はぺったんこだった。保険医の先生も背後で、頷いてる。 「今日は消化のいいもの食べなさいね。いきなり唐揚げはダメよ」 「はい」  起き上がり、身支度を済ませ「お世話になりました」とお辞儀をして田辺君と保健室を出て、食堂へ向かった。 「僕、午前中ずっと寝ちゃってたんだね」  田辺君を見ると妙にニヤニヤしてる。 「田辺君?」 「うんうん。ずっと寝てた。爆睡。ゆうべ寝てないとかぁ?」  田辺君の語尾がおかしい。なんだかおもしろがってるみたい。 「うん。まぁ……って、どうしたの?」 「どうもしないよぉ。あ、今日なに食べようかなぁ」  食堂へ着き、券売機へ並ぶ。  田辺君はお好み焼きと焼きそばセットを選び、僕は消化がいいものを選びなさいとのお達しだから月見うどんにすることにした。テーブル席に着き、うどんをすすってると、田辺君が顔を寄せ内緒話するみたいに言った。 「一時間目終わった時にさ、保健室行ったの」 「そうだったの? 全然気が付かなかった。ごめんね」 「いいのいいの。でさ、その時に東条院様の双子の弟の方がいてさ」 「え、光輝さんも?」  ああ、そうだったんだ。そういえば、お見舞いに来るって言ってたのに……。すっかり眠り込んでたことを残念に思ってると、田辺君はさらに顔を寄せてきた。 「カーテン開けたらいたからビックリしちゃった。んで、寝不足みたいだから、起こさないでくれって! 桜のこと守ってるみたいで、えーっ!? って」  だんだん声が大きくなってくる。僕はあたふたして、田辺君の口を手で覆ってしまった。 「声、大きいよ」 「フゴフゴ」
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