口づけの意味

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 光輝さんの唇が少し開き、僕の唇をはさんで軽く引っ張る。プルプル震えるような柔らかさ。秘密のたわむれだ。光輝さんの唇に遊ばれる度に、あ、あ、となりながら体の芯も震える。目の裏は何も見えなくて、きっと暗闇なのに真っ白で。濃霧の中に迷い込んでしまったように全てがぼやけて、勝手に口が少しづつ開いていく。  温かくて濡れたのがするりと入ってきた。  口の中をちゅるんと舐められて、脳にまた電気が走る。 「ふあ……」  気が付いたら僕はソファに横たわっていた。全身の骨が溶けてグニャグニャで、力が入らない。覆いかぶさる光輝さんのキスが気持ちよくてたまらない。  ずっと、ずっとしていたい。  他はどうでもよくて、何も考えられなかった。 「智尋、ベッド行く?」  光輝さんがキスの合間に囁く。僕は力の入らない体でウンウンと頷いた。 「キスしてくれるならどこでもいく」  光輝さんは僕を抱き上げると、ベッドへ移動して、布団をかけた。  布団に潜った光輝さんが覆いかぶさり、またキスしてくれる。キスしながら僕の体を優しく撫でた。あちこち触られる度になにかわからないけど、甘い蜜のようなものが脳から溢れ出してくる。  それもすごく気持ちよくて、僕はもっともっと、とろとろになっていった。
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