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分かってるって、いいってことなのかな……。でも、やっぱりいろんなことがすごく申し訳ない。
「じゃあ、あの、シャワー……いってきます」
「一緒にいこう。どうせ裸だし」
「いっしょ……」
光輝さんと一緒にいられるのは嬉しいけど、恥ずかしい気持ちが勝って口ごもってしまう。光輝さんはどうでもいいって言ってくれたけど、あんなふうになってしまったのも、人の手に出してしまったのも初めてで、ひどく申し訳ない気もして、光輝さんとまともに目を合わせられない。
「ふふ。わかったよ。目を閉じてるから行っておいで」
「うん、ありがとうございます」
光輝さんは本当に目を閉じて、僕を解放してくれた。
僕は着てきた服を探しかき集め、シャツだけ羽織って、お風呂場へ駆け込んだ。背中で扉を閉め、ふにゃっと力が抜ける。
なんだか知らない間に、すごいことになってしまった。キスのはずが抱っこもして、裸になって、光輝さんに出してもらうなんて。
ふえぇぇぇ……。どうしよう。こんなことになるなんて思ってもみなかった。
パニックに陥ってしまった頭を冷やそうと、シャツを脱ぎ頭のてっぺんからシャワーを被った。汗を流して鏡を見るともちろん裸の自分の姿がある。
この体、光輝さんにいっぱい舐められちゃったんだよね。
せっかくクールダウンしたのに、また顔が熱くなる。
シャワーの音に混じってドアの開閉音が聞こえたような気がした。振り向くと全裸の光輝さんが立ってる。
「こっ! 光輝さんっ!?」
「わりぃ、俺も入れて?」
ぎゃっ!! と心の中で叫んだけど隠すものが何もない。隠すも何も今さらな感じもするけど、だからって、僕はどうしたらッ!?
呆然としてると光輝さんは悪びれる様子もなく、僕の背中からギュッと抱きついてきた。カーッと顔に熱が上がってくる。
「綾が部屋に入ってきたから、逃げてきた」
「えっ、あっ、でもそれって余計マズイノデハ……」
「マズくないよ? 俺たち付き合ってるんだし、当然でしょ?」
「つ、つき……あう……」
それって、恋人って、あ、わわわ、わあぁ。
光輝さんが密着したままの僕の胸やお腹を掌でサラサラと撫でてくる。
「智尋の肌、気持ちいい。ずっと触ってたい」
「光輝さんっ、光輝さんっ、綾光さんがっ!」
「いいんだよ。鍵は掛けてあるし、覗かれないから。それに」
光輝さんが僕をクルリと反転させ、壁に押し付けた。ひんやり冷たい壁。でも僕の熱は一向に引いてくれそうにない。
「さっきの続きしよ?」
光輝さんが甘く囁いた。
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