第1章 憧れの地

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 と、借りる譲らないから発展し、手伝う手伝わないという譲り合いに移行し言い合っている内に、荷物纏めが一段落ついたらしい桐島さんが降りて来て後ろから声をかけてきた。  その方を振り返ると、片付けをしてきますと出ていった時のラフさとは異なる装いの桐島さんが。  黒のロングスカートに上は白のカットソー、ブラウンチェックのストールをふわりと羽織っただけの大人なスタイル。  どこかにおでかけ、といった雰囲気だ。  その予想は的中したようで、お二人も一緒に出掛けませんかとのお誘い。 「何か買い忘れが?」 「ええ。せっかく資料集めにと赴くというのに、それを収めるのに一番重要なデジカメのバッテリーが弱ってしまってて、新しい物を買いに行こうかと」  ついでに三脚も、と。  確かにそれは重要だ。慰安はサブ、僕らはあくまでおまけなのであって、仕事道具を持って行かないなんて馬鹿な話はない。  しかし、デジカメとは。  また数奇なものだ。
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