第1章 憧れの地

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 と、桐島さんが「そういえばあの本ですけれど」と、記憶堂にて僕ら二人が取り合っていた本を指してある意見を出した。 「お二人で読めば解決では?」  それは――それは、とても、 「「恥ずかしいから却下で」」  珍しくハモリを見せ、ふとして見合ってすぐに目を逸らした僕らに、通潤橋で何があったか知らない桐島さんは疑問符を浮かべて固まった。  しかしすぐに何かを察したらしい桐島さんは、優しく薄っすら笑うと「他の物も買って、早いところ帰りましょうか」と、気を回して空気を読んだ一言を発した。
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