序章

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 しかし、いつまでもしょげているのも桐島さんらしくなかった。  存外あっさりと立ち直ると、前向きに「これからです、これから!」と頬を叩いて、 「とりあえずヴァポレットです。早いところ、ホテルに入っておきましょう」  そんなことを言う桐島さんに、またまた僕らは苦笑い。  今度は見られていたようで、頬を膨らませて怒られた。  ——と、どうして僕らが遠い異国の地、ヴェネツィアにいるのかと言うと。  時は少し遡る。
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