2 Sな彼女とドSな彼

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ドンッ、ドン、ドンッーーー 単調に上がる花火の光が サヤカの顔を青や黄色に照らす。 口開いてるけど(笑)。 起き上がって空を見上げ 一つ息をついた。 「サーヤはさぁ、まだふなっきーのこと引きずってんの?」 サヤカがこちらを見た。 「うーん。引きずるっていうのはどういう意味ですか?」 花火は上がり続ける。 「難しいこと聞くなあ。まだ全然次にいこうと思わんかったら、ちゃう?」 サヤカの顔を見る。 もう未練はなさそうやな。 「全然ってことはないですけど……。気持ちが残ってるままは誰かと付き合うのは……」 ドンッ、ドォン、ドンッーーー 言葉を遮って打ち上がった花火が 二人の顔を真っ赤に染める。 「……俺が忘れさせたるやん」 「え?」 サヤカが目を丸くした。 鳩に豆鉄砲という言葉がピッタリ。 「俺が忘れさせたるから俺と付き合わへん?」 「ええっ?!」 さらに目を見開いたサヤカに構わず 空に青やオレンジの花火があがる。 「あかん?」 「あ、あかんとか、そうじゃなくて……」 ほんなら何やねん。 なあ、サヤカ。 自分で言うのもあれやけど 俺も結構ええ奴やから いっぺん死ぬ気で惚れてみてや。
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