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「何があかんねん」
迷いの原因はわかるけど。
「何がって……。その、気持ちが百%向いてないのにいいのかなぁって」
元カレふなっきーはもうええやろ。
「両思いなってから付き合いましょう!ってお前は中二か、あほ」
付き合ってみな分からんことやって
死ぬほどいっぱいあるやろ。
「あほって言われても……」
サヤカが口を尖らせる。
「ゴチャゴチャ言うなって言うたやろ? 俺が百%惚れさしたるわ」
任しとけ。
「その自信は何ですか……」
俺が童貞君に負けるわけない。
あんな事やこんな事も
今サヤカを思う気持ちも。
花火はクライマックスを迎えた。
空が白く輝く。
爆音が鳴り響いている。
誘われるようにサヤカが空を見上げた。
明るく照らし出された耳元で囁く。
「好きやで、サーヤ。俺と付き合って」
ドンッ、ドォン、ドドンッーーー
絶え間なく花火があがり続け
周りから歓声が上がる。
耳まで赤くなったサヤカが可愛くて
ニヤけそうになる。
「損はさせへんから"はい"て言うとけ」
はいって言うまで帰さへんけど。
俺のホントウは今ここにあるから。
サヤカが静かに答えた。
「……はい」
ええ子やな。
ここでご褒美あげたいくらい。
花火が終わって辺りが暗くなると
拍手喝采が沸き起こった。
熱を帯びたサヤカの肩に手を回して
もう一度キスをした。
長めにしといたのはサービスな。
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