2 Sな彼女とドSな彼

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「西川さん!」 心地よい夢から覚める。 「西川さん、着きましたよ」 サヤカの最寄駅に到着した。 「あー、本気寝してもた!」 何が夢か現実か。 「立ったまま寝るなんて器用ですね」 「もったいなー」と言いながら ホームに降りた。 改札を出ると サヤカがキョロキョロと辺りを探る。 「どこに車停めたんですか?」 「家まで送るから」 ずんずんと先を行く。 「私の家知ってるんですか?」 「知らん。大体コッチやろ?」 ほんまは知ってるけど 前回は泥酔していたせいで コイツ覚えてないしな。 夜道を並んで歩く。 マンションの前に着いた時 「上がって行きますか?」 と聞かれた。 「今日はやめとく」 「今から運転でしょ? 仮眠取った方がいいんじゃないですか?」 「あほか。あんな事やこんな事があった後で部屋で二人になって寝れるか、ボケ」 どうやったって欲望を止められる自信がない。 勢いで関係を進めてしまうのは もったいない気がした。 「お楽しみは後に残しといたらサーヤはソレばっか考えるやろ?」 俺のことで頭いっぱいになってみてや。 「このドSッッ!」 「うそうそ。明日も仕事やねん。着替えなあかんから帰るわ」 「そうなんですか?!」 からかいがいがある奴やな(笑)。 「仕事の方はもうちょいしたら落ち着くと思けど。また電話するわ。ほな、おやすみ」 「お、おやすみなさい……」 「そんな顔すんなや」 かなり分かりやすくガッカリしてるサヤカを 愛おしいと思った。 優しくおやすみのキスをした。 「今日はこれで我慢しとけ。な」 名残惜しいのは 俺も同じなんやから。
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