1 Sな彼女とNな彼

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「あの、本当にごめんなさい」 体を離した時 カツンと携帯を落とした。 ストラップにつけていた“あおすけ”が 弾け飛んだ。 ああっ!!! 慌てて携帯とあおすけを拾う。 他に落としたものはないか 地面に視線を走らせる。 「これもやろ?」 その人は手の平に乗せた 小さい黄色い鈴を 紳士のように差し出した。 「あ、ありがとうございます」 受け取ると チリンと小さく鳴った。 携帯は少しの傷と メールの受信があるだけで 12時58分を知らせていた。 ギリギリセーフ! ホッとした時 突然の強い風が吹いた。 長い髪が顔にまとわりついて 視界が奪われる。 フレアスカートも煽られた。 髪を掻き上げた隙間から 口の端で笑う顔が見える。 「パンツ見えそうやけど(笑)」 パッ、パンツ?! さっき紳士みたいと思ったのは撤回。 携帯と財布を持ってる手で 慌ててスカートを押さえた。 「失礼しましたっ!」 髪とスカートを押さえながら 逃げるように入口に駆け込んだ。 「ちょっ……」 その人が何か言い掛けたことは 本当は聞こえたんだけど 無視してエレベーターに乗り込んだ。
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