1 Sな彼女とNな彼

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13時。 課長とミーティングルームで 最終の打合せを始めた。 ガイダンスの流れを確認する。 社長講話の後は 部長による会社説明。 休憩を挟んで 外部講師を招いての研修。 ビジネスマナー研修。 コンプライアンス、 情報リテラシー……。 ハッキリとは意味の分からない片仮名が 幾つか並んでいた。 「一時半には講師の方々が来るから、それまでに会議室の机に資料を並べておいて」 人使いは荒い。 通路の一番奥の大会議室で 机に新入社員の名札と 研修資料を並べる。 コンコンッ。 ガチャッ。 「失礼しまーす」 音と声に振り返った。 あっ! さ、さっきの……! 「お、パンツの子やん(笑)。君も研修に参加するんや?」 この人こんなに図太くて新入社員なわけ? 茶色い髪に明るいグレースーツ。 クローバー柄のネクタイ。 キラキラのタイピンにカフスボタン。 焦げ茶色の革靴が光っている。 「私は研修の司会です。自分の名札がある席に座って待ってて下さい」 ぶっきらぼうに答えた。 「へー。講師の席はどこなん?」 「講師席は一番後ろです」 さらに無愛想に後ろを指差した。 「どこでもええの?」 「どこでも結構です……って、えっ?! こ、講師?!」 その人はカバンを机に置くと 上着を脱いだ。 「俺が新入社員に見えるん?(笑)」 「へっ?! や、まあ、講師よりは……」 チャラい新入社員かと思った。 「んなわけないやろ(笑)。講師の西川です。よろしくね、マミヤちゃん」
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