1 Sな彼女とNな彼

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午後5時。 一日目の研修が終わった。 すごい疲れた……。 後片付けは私一人だし。 机を雑巾で拭き終えて 電気を消す。 デスクに戻って 日報を書いていた。 課長が「明日もよろしく!」と 翌日のプログラムの最終版を 私の机に滑らせる。 もうすぐ定時だし サラッと見て帰ろう。 あれ? 「課長、プログラムの順番が……」 「あー、社長がパソコンのスキルチェックも入れろって言うからタイムスケジュールも変更あるから」 変更あるからって…… 「配布する資料も変更されてるんですよね?」 「今から刷り直しだよ」 まさか…… 「誰がやるんですか?」 課長が私を見てニヤッと笑う。 「間宮さん、よろしく!」 ええ~?! 研修の間は残業しなくて良いって 言ってたのに~。 電源を切ったばかりのパソコンの スイッチを押す。 帰るつもりだったから お腹すいたなー……。 「北山さん、この近くにコンビニありますか?」 隣のグループの先輩に声を掛けた。 「んっとね~、ビルの裏口から出ると立体駐車場になっててね。駐車場を出て右に……」 綺麗に手入れされたネイルの指で メモに簡単な地図を書いてくれた。 「ありがとうございます。行ってきます」 エレベーターで下りて 正面玄関と反対方向へ進む。 重い白いドアを開けて駐車場へ出た。 隅には灰皿が置いてあって 一人の男性が煙草を吸っている。 息を止めて走り抜けようとした。
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