レモンの涙

　結婚式が終わり、僕の花嫁が着替えている間、久しぶりに会った友人と話をしている。
　友人は嬉しそうな顔で、僕は気難しいから結婚できるかどうか心配だっただなんて言っているけれども、そう言っている彼だって、まだ未婚なのだから人のことは言えない。まだ子供っぽさのあるこいつが結婚できるかどうか心配なのは僕も同じなのだ。
　ふと、友人が僕の頭を撫でて言う。
「お前は、もう大丈夫だ」
　それを聞いて、思わず涙が零れた。なにか躓くことがある度に、彼は僕を励ましてくれていた。それは忘れようとしても無理なことだ。
「ありがとう」
　涙を拭いながらなんとかそう返して、心の中でもう一度呟く。
　今まで見守ってくれていてありがとう。初恋の人。