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仕方なく、そのまましばらく3人で雑談をしていると、テーブルの上に伏せていたリーダーのスマホが鳴った。
リーダーが電話に出て、短い応答を済ませると通話を切る。
「祖母じゃなくて、彼女の幼なじみが代わりに来てくれたみたいだ」
「幼なじみ、ですか」
「男性だ。祖母は足が弱いから、引き取りの代わりを彼に頼んだみたいだ。その幼なじみはコインロッカーの前で待ってる。行くぞ」
リーダーが立ち上がる。
私も席を立った。
「わかりました。…おい神楽、起きろ」
潤君が、寝ている神楽君を起こす為に肩を揺する。神楽君は起きた。
けど、目を開けた神楽君はぼんやりした表情で、テーブルに視線を注いだまま動かない。
「……」
「神楽、大丈夫か?」
神楽君が眉を寄せて潤君を睨んだ。物凄く不満そうな表情をしている。
潤君は何かに気づいたかのようにハッとして、確かめるように尋ねる。
「今は、拓美だな?」
「……あぁ」
神楽君は低い声で返事をすると、大きなあくびをひとつした。
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