上『歌死魔さんの呪い』

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* * * 残りの時間は、さっきのことを忘れるかのように、3人とも明るい曲を休みなく歌って、あっという間に2時間過ぎた。 カラオケ店を出た後は、そこで3人と別れる。 3人とも笑顔で、「楽しかったね!また4人で遊ぼうよ」「学校でも話そうね〜」「明日は一緒にお昼食べようね」と言ってくれた。嬉しかった。 歩いて家に帰る途中、私はリーダーの家に寄り道をすることにした。日曜日のこの時間は、リーダーは寺の方にいる。 寺の広い境内を見渡すと、本堂の前を、紺色の作務衣を着たリーダーが掃き掃除していた。 私は小走りで、リーダーの方へ近づく。 「リーダー」 声をかけた。リーダーが手を止めて顔を上げる。 「よお、篠岡」 「お疲れ様…」 「ああ」 リーダーは軽く笑う。 「買い物して来たのか」 私の手元の、ちょっと洒落た紙袋を見て、リーダーは珍しそうに言った。 「うん…ショッピングセンターに、行ってたの」 「ふうん」 「…買い物済ませた後、クラスの子たちに会ってね、カラオケに誘われたから、行ってきたの」 「へえ、そっか。楽しかったか?」 「うん…楽しかった」 私は頷いて、自然に微笑む。 リーダーも微笑んで、「よかったな」と優しい声で言った。 「リーダー…夜ご飯は、お寺で食べるの?」 「ああ、今日は兄貴が担当だ。弟も来てる。せっかくだし、篠岡も食ってくか?」 「…うん、食べたい」 「じゃ、先に中行ってろよ。俺はさっさと掃除済ませるからよ」 うん、と頷いて、その場を離れる。 打ち解けた人たちとの賑やかな夕食の時間が、凄く楽しみだった。
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