上『歌死魔さんの呪い』

14/19
前へ
/56ページ
次へ
* * * いつもの時間帯に家を出て、いつもの時間帯に学校に到着する。 リーダーと一緒に登校する時は、私から連絡して、リーダーが先に家の前に来てくれる。でも今日は、リーダーが朝食の準備当番の日で遅くなるから、先に1人で登校した。 朝からずっと、午前の授業中も、頭の中は『歌死魔さん』のことでいっぱいだった…。 * * * 昼休みのチャイムが鳴った後、鈴村さん達が私の席まで来て、一緒に4人でお昼ご飯食べようと誘ってくれた。 私は頷いて、鈴村さん達と一緒にお弁当箱を手にベランダに出る。 「昨日、楽しかったね〜」 おにぎりのラップをはずしながら、佐々木さんがにこにこ笑顔で言った。 川村さんがサンドイッチを齧ったあとに、 「そういえば、夢にさ…」 私はどきりとする。 思わずお箸を持つ手を止めて、川村さんをじっと見てしまう。 「『歌死魔さん』、出てこなかったよ」 と、言った。 「私も〜」 言って、佐々木さんはおにぎりを齧る。 私はちらっと鈴村さんを見た。 お弁当を食べながら、鈴村さんは、 「私も出てこなかったよ。篠岡さんは?」 と言って、私を見た。 「わ…私も、見てない…」 「そっかぁ」 その後は、ドラマの話にうつって3人の話は盛り上がる。 私は俯いて、お弁当のおかずを意味もなくじっと見た。 …みんなは、夢を見ていないんだ。 やっぱり、私が“選ばれた”んだ……。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

98人が本棚に入れています
本棚に追加