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「…私、神楽君の手料理、食べてみたい」
みんなが「えっ」という顔で私を見た。
神楽君は呆けた顔で私を見る。
あ、そういえば…ちゃんと目が合うのって、これが初めてかもしれない。
「…前に見た写真の手料理。どれも美味しそうだったから」
「…はぁ…そうですか…。ありがとうございます」
「…神楽君の得意料理って、何?」
「得意っつーか…まぁ、汁物は得意ですね、豚汁とか…」
「…すごいね。私は、料理あまり得意じゃないの」
「はぁ…まぁ…日頃から練習すれば、できるようになりますよ」
「…うん、そうだね。やってみようかな」
「…頑張ってください」
「…うん、ありがとう」
…コミュニケーション、とれた!
嬉しくて、内心でガッツポーズする。
「神楽先輩と篠岡さんが会話してるの、初めて見たかもっス」
と、正人君が言った。
リーダーが不安げな顔をして私に言う。
「篠岡、マジで体調悪いだろ。早く帰ってゆっくり休め」
「いやリーダー、大袈裟では…」
そう言って潤君が苦笑いする。
なんとも言えない空気感が室内に流れた。
みんな、そんなに驚くことないのに…。
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