上『歌死魔さんの呪い』

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「…私、神楽君の手料理、食べてみたい」 みんなが「えっ」という顔で私を見た。 神楽君は呆けた顔で私を見る。 あ、そういえば…ちゃんと目が合うのって、これが初めてかもしれない。 「…前に見た写真の手料理。どれも美味しそうだったから」 「…はぁ…そうですか…。ありがとうございます」 「…神楽君の得意料理って、何?」 「得意っつーか…まぁ、汁物は得意ですね、豚汁とか…」 「…すごいね。私は、料理あまり得意じゃないの」 「はぁ…まぁ…日頃から練習すれば、できるようになりますよ」 「…うん、そうだね。やってみようかな」 「…頑張ってください」 「…うん、ありがとう」 …コミュニケーション、とれた! 嬉しくて、内心でガッツポーズする。 「神楽先輩と篠岡さんが会話してるの、初めて見たかもっス」 と、正人君が言った。 リーダーが不安げな顔をして私に言う。 「篠岡、マジで体調悪いだろ。早く帰ってゆっくり休め」 「いやリーダー、大袈裟では…」 そう言って潤君が苦笑いする。 なんとも言えない空気感が室内に流れた。 みんな、そんなに驚くことないのに…。
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