上『歌死魔さんの呪い』

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* * * 手芸店で、さっそくお目当ての物を発見。 色がたくさんある。何色がいいかな… 「いらっしゃいませ〜」 若い女性店員さんが笑顔で話しかけてきた。 話しかけられるの苦手、どうしよう… 「これ、今大人気ですよね。自分用ですか?それともプレゼント用ですか?」 「…え、と…」 「自分用だと、自分の叶えたい願い事を込めながら手作りするんですよ。プレゼント用だと、たとえば、好きな人と両思いになりたい場合に、2つ手作りして片方を好きな相手にプレゼントするんです。そうすると、両思いになれるんですよ!」 店員さんはニコニコ笑顔でそう教えてくれた。 好きな人と、両思い… 私の脳裏に、1人の男子生徒の顔が浮かびあがる。 …ち、違う。 私は別に、両思いになりたいなんて、思ってないし… 「ずっと仲良しでいたい友達と友情アイテムとして持つ人もいますし、あと、運動部のマネージャーが部員全員分を手作りして、試合に勝つって願い事をしたりすることもありますね。 とにかく今すごく人気なので、入荷してもすぐ在庫切れになっちゃうんですよ。今はさっき入荷したばかりでカラーも選べるし、是非!いくつか手に入れてみて下さい!」 店員さんの営業トークとスマイル攻撃に、私はぎこちなく笑い返す。とりあえず、私が思う“彼ら”のイメージカラーを選んで、急いでレジに持って行って会計を済ませた。
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