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さっきの店員さんの「ありがとうございました〜」の声を背に受けながら、お店を出る。
無事にゲットできてほっとする。
「…早く帰って、作らなきゃ」
人数分、早く完成させてプレゼントしたい。
リーダー、潤君、神楽君、正人君。
みんな、喜んでくれるかな…。
ちょっと気分が上がってきて、早歩きになる。
「あれ?あ、やっぱり篠岡さんだ!」
女子の声に名前を呼ばれて、驚いて足が止まる。
前方に、お洒落な私服姿の女子が3人いて、私の方に興味津々な顔で近づいて来た。
クラスメイトの子たちだ。
教室でも、いつも3人でおしゃべりしているところを見る。
でも、私はこの3人と仲がいい訳じゃない。
ただのクラスメイト。
挨拶されたら、返す。
用事があったら声をかける。
それくらいの関係。
教室でおしゃべりしたり、昼休みに一緒にご飯を食べたりなんてしたこともない。
だからこっちに来られても正直…困る。
どうしよう…
「休みの日に会うなんて今までなかったよね。1人で買い物してたの?」
身長が高くて雰囲気も大人びてる鈴村さんがそう聞いてきた。私は黙ったまま小さくうなずく。
「え〜ほんとに?本当は彼氏とデート中なんじゃないの〜?」
ボーイッシュな私服姿の川村さんが、にやにや笑いながら茶化すように言った。私は慌てて首を振る。
「てか、篠岡さんの私服初めて見た!ねーねーそのパーカーどこのブランド?」
フェミニンなワンピース姿が似合ってる佐々木さんにそう聞かれて、自分の地味な私服姿が恥ずかしくなって俯いてしまう。
早く、帰りたい…
「あの…私…」
急いでるから行くね、と言おうとしたけど、先に鈴村さんが、あっと声を上げて言った。
「ねぇ篠岡さん、今から私たちと一緒にカラオケ行かない?」
「え…?」
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