上『歌死魔さんの呪い』

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さっきの店員さんの「ありがとうございました〜」の声を背に受けながら、お店を出る。 無事にゲットできてほっとする。 「…早く帰って、作らなきゃ」 人数分、早く完成させてプレゼントしたい。 リーダー、潤君、神楽君、正人君。 みんな、喜んでくれるかな…。 ちょっと気分が上がってきて、早歩きになる。 「あれ?あ、やっぱり篠岡さんだ!」 女子の声に名前を呼ばれて、驚いて足が止まる。 前方に、お洒落な私服姿の女子が3人いて、私の方に興味津々な顔で近づいて来た。 クラスメイトの子たちだ。 教室でも、いつも3人でおしゃべりしているところを見る。 でも、私はこの3人と仲がいい訳じゃない。 ただのクラスメイト。 挨拶されたら、返す。 用事があったら声をかける。 それくらいの関係。 教室でおしゃべりしたり、昼休みに一緒にご飯を食べたりなんてしたこともない。 だからこっちに来られても正直…困る。 どうしよう… 「休みの日に会うなんて今までなかったよね。1人で買い物してたの?」 身長が高くて雰囲気も大人びてる鈴村さんがそう聞いてきた。私は黙ったまま小さくうなずく。 「え〜ほんとに?本当は彼氏とデート中なんじゃないの〜?」 ボーイッシュな私服姿の川村さんが、にやにや笑いながら茶化すように言った。私は慌てて首を振る。 「てか、篠岡さんの私服初めて見た!ねーねーそのパーカーどこのブランド?」 フェミニンなワンピース姿が似合ってる佐々木さんにそう聞かれて、自分の地味な私服姿が恥ずかしくなって俯いてしまう。 早く、帰りたい… 「あの…私…」 急いでるから行くね、と言おうとしたけど、先に鈴村さんが、あっと声を上げて言った。 「ねぇ篠岡さん、今から私たちと一緒にカラオケ行かない?」 「え…?」
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