下『死者のメッセージ』

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相手が出ると、リーダーは慣れたように話をする。 リーダーの実家の寺は除霊もやっていて、霊現象の相談電話や訪問は日常茶飯事。 幼い頃から寺の手伝いをしていたリーダーは、老若男女初対面の人の接し方には慣れている。 難なく電話対応をするリーダーからは、いつものちょっと乱暴な言葉遣いや低い声は消え失せて、丁寧な敬語と柔らかな声で話を進めていく姿には感心する。 第一印象は声と話し方で決まるというけど、人見知りが激しい私には到底真似できない。 「はい、到着しましたら、この電話番号にご連絡宜しくお願いします」 通話を切ったあと、リーダーは肩の力を抜いて息を吐く。 「はー…何とかなったぜ。今からこっちに向かってくれるそうだ」 「怪しまれなくてよかったですね」 「うちの寺に、よく足を運んでくれていた参拝者だったからな。親父の名前も知ってたし、そのおかげで警戒心が解けてスムーズだったぜ」 ここまで順調に進んでいる。 けど、安堵するにはまだ早い…。
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