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相手が到着するまで、近くのコーヒーショップに入って時間を潰すことになった。
* * *
「『歌死魔さん』の本名は、久野優子だそうだ」
リーダーはアイスティーのグラスを持ちながら言った。
カラオケ店と同じように、私はリーダーの隣に。向かい合わせに潤君と神楽君が座っている。
潤君はアイスコーヒーにミルクを入れて混ぜ、グラスに視線を注いだまま呟く。
「彼女は、ロッカーの中にあったスマホを祖母に渡して貰えたら、成仏するんでしょうか」
「さあな。けど、それだけじゃない、まだ続きがあるんじゃねぇかと思うんだよ」
リーダーは腕を組み、椅子に背中を預ける。
「時間の有効活用するか。おい神楽、彼女の最終目的は何なんだ–––…って、寝てねぇかコイツ」
神楽君は、腕を組んで頭を俯かせ目を閉じている。
さっきもあくびをしていたし、眠かったんだなと思う私の隣で、リーダーは「コイツ部室でもぼーっとしてるか寝てるよな」と呟いて、ため息をついた。
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