上『歌死魔さんの呪い』

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川村さんが戻ってきて、それぞれが座る位置にドリンクを並べた。 一番手に、鈴村さんが歌を歌う。 次に佐々木さん。 川村さんが激しめの曲を歌ったあとに、私は歌いやすい穏やかな曲を選んで歌った。 やっぱり、人前で歌うのは恥ずかしい…。 でも、ちょっぴりだけど…楽しい、かな…。 次は写真部のみんなで、一度来てみたいかも…。 一周目が済んだ時、タイミング良くフライドポテトとハニートーストが運ばれてきた。 それらを分け合って口にしながら、トークタイムに入る。 「篠岡さんって、すっごく歌上手だね!」 向かい側に座っている佐々木さんが、にこっと笑って褒めてくれた。 「あ…ありがとう…」 「声が綺麗だよね。柔らかくって優しい感じ。私と真逆だなぁ」 私の隣で足を組んで座っている川村さんも笑顔で褒めてくれた。 恥ずかしいけど、嬉しい。 するとポテトを摘んだ鈴村さんが、 「ねぇねぇ篠岡さん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」 と言ってから、ポテトを口に放り込む。 私はオレンジジュースのグラスを手にしたまま「なに?」と聞いた。 「篠岡さんって、部活って写真部だよね?」 「うん…」 「確か後輩に、イケメンいるでしょ。神楽って苗字の男子」 私は口を閉じて、こくりと頷く。 「廊下歩いてるとこ何度か見かけたけど、めっちゃ綺麗な顔してるよね。身長もあって細身で、声もイケメン!」 「まさに王子様って感じ〜」 「目の保養だよ。あと一年遅く生まれてたらもっと近くで拝めたのになぁ」 3人とも、神楽君のことできゃあきゃあと盛り上がっている。
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