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「おにいしゃん、おねんねしなきゃだめだよ!」
「いや、今日も大事な仕事が……」
あれ?
今、目眩が……?
「おにいしゃん?」
「はぁ、仕方ない。こんな小さな子を置いてくわけにも行かないし……会社、今日は一旦休むか」
「おにいしゃんお出かけしない?」
「電話したらな」
上司にはもちろん怒鳴られたが、何とか会社は休んだ。
「おにいしゃん大丈夫?」
「はぁ、なんか身体だるくなってきた。横になりたいけど……」
「大丈夫、僕ずっとおにいしゃんといるよ!」
「え?」
「おにいしゃんをいやしゅ! だから、いるの!」
純粋無垢な笑顔に心が暖かくなるのを感じた。
「君……」
「大丈夫! 僕がいるからおにいしゃんはもう大丈夫だよ!」
「あ、ありがとう……」
こんな小さな子供に励まされてしまうとは情け無い。
「ちゃんとお布団入っておねんねしようねっ」
「あ、ああ……」
言われるがままにベッドに入る。
「僕も一緒におねんね!」
「えっ! そんないきなり知らない大人のベッドに入るのか?」
「僕、おにいしゃんのパートナーだよ! おにいしゃんハッピーにしゅる為に一緒におねんねもしゅる!」
一切警戒心の無い子供だな。
普通の子供からしたら暗くて物静かな大人の男性は近寄りがたいと思うけど。
とりあえず寝る事にした。
自分でも気付かない内に無理をしていたようだ。
チューリップの妖精と一緒のベッドで眠りにつくと、いつもより安眠出来た。
「あれ……俺、結構寝てた?」
「おにいしゃん、おはよう!」
「夢……じゃなかった!」
目覚めると、目の前にあった小さな子の顔を見て改めて現実を理解した。
「もうお空の色変わったよ!」
「マジか。夕方まで寝てたのか、俺。あ、お腹! 空いたりするのか? 妖精って」
「僕は妖精だからお腹あまり空かないよ! おみじゅだけで元気!」
「なるほど、水だけか」
「けど、おにいしゃんと同じご飯は食べられるよ! 一緒にハッピー感じたいから!」
「マジか」
「ちっちゃいからたくさんは食べられないけど……」
そうなると、人間の子供みたいに扱えば良いのか。
子供と関わった事が無いから勝手は分からないけど。
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