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 早くも人々の慣れない正座の足が痺れ始めた頃、ヴォーグ人が立ち上がり、ベイ将軍と入れ替わりにマイクの前に立った。  金色の全身タイツか。いやあれは全身タイツなんかではなく、ナチュラルな皮膚なのだろうか。目や鼻や口の穴はなく、名残りのような凹凸がわずかにあるのが見てとれた。  ヴォーグ人の話すことは地球言語に変換され流れた。その声は人々の様子からして、モニターから出てくるというより一人一人の脳にダイレクトに伝わっているようだ。しかるにマイクなどいらないように思われる。    はるか昔に作られた映画「未知との遭遇」「E.T.」が今、現実となった。  人類初の宇宙人との接触である。人差し指で繋がりたかったなどと不謹慎なヒソヒソ話があちこちで聞こえた。この場に及んでまで人々の危機感のなさには、母船でモニター中の控えのヴォーグ人も呆れ顔である。  これから明らかにされるであろう恐ろしい刑罰も想像出来ないとは、地球人の鈍感力には呆れるばかりだ。そもそも人間には悪事を働いて来たという自覚が一切ないのである。
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