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 ヴォーグ人の説教が始まった。   「さて単刀直入に言おう。一言でいうと、君ら人類は所詮穿だ!」   「人類よ、調子に乗るにも程があるぞ。どれだけ地球を傷つけて汚染させれば気が済むのだ。どれだけほかの生物を絶滅させれば君らの飢えた魂は満足する」  「今更だが、君らは極楽鳥の美しさを知っているのか。大型猫科動物の優雅でしなやかな筋肉の動きに心を奪われないのか。海の中で日々行なわれている死闘や、子孫を残す為の鯨やシャチの優美なダンスに心を動かされないのか。ホッキョクグマが白さを失っても平気なのか──現にホッキョクグマは南下してヒグマと交配しているではないか」 「我々は長期間に渡り秘密裏に地球をパトロールして来た。たまにUFO目撃談なるものがあったと思うが、あれは正真正銘本物だ。今でも300km上空で待機している」 「我々は厳密な調査を行なった。何十兆の人間以外の生物に一固体一固体アンケートを取ったのだ。全ての物事が多数決で決定するのなら君らは圧倒的な負け組だ。彼らから聞いた君らの印象は反吐(へど)が出るほどに最悪なものだ。動植物の悲鳴が 宇宙の彼方まで聞こえていたよ。昨今の動植物の絶滅及び絶滅危惧種の目に余る増加には他の星に住む我々さえ辟易しているし、宇宙規模最大級に腹が立っている。故に無視は出来ない。この最悪の事態の全ては穿、要するに人類、君たちのせいだ」  「人間以外の生物の意見は、もうすでにしっかり一つに纏まっている。宇宙裁判所の判決に異議無しということだ」 「今から 判決を言い渡す」 「心して聞きたまえ」   「君たちは宇宙裁判所により銀河系初のサイコパスと認定された。ここで言うサイコパスとは宇宙社会不適合者である。よって地球上に寄生する人類を一匹残らず絶滅させる事となった。しかし我々が直接手を下すことはしない。だ。──以上」 「尚、人類最後の良心であるところのベイ将軍は、まだ我々と話し合いがしたいらしいが、それはどうだろう。この決定事項が覆るとは思わない。最後にもう少し君らをディスらせてもらう。45億年の地球の歴史の前で厚顔無恥にも三百年ぽっちで、よくもまあここまでやらかしてくれたもんだ。欲深いにも程がある。ここは君たちだけの星ではなかったという事だ。ここに生きるもの、すべてのものの地球だったのだ。ここに生きる全生物が幸福になれる方法など幾通りもあったはずだ。しかし君たちはあまりにも浅はかだった」  ヴォーグ星人の説教は手厳しかった。    聞いている人々は身を縮めた。
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