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 ヴォーグ星人はかなりの説教好きだ。話し始めてすでに一ニ時間経っているのだが、最後に最後にと言いながらまだ長々と地球人の悪行を事細かに並べている。地球の老若男女はもう正座の足が痛くて我慢出来ないらしく、日本人以外はおずおずと足を伸ばした。そこでモニターに行儀の悪い人間の様子が映っているのだろう、ベイ将軍は「もうその辺でご勘弁を」というような事をヴォーグ星人に耳打ちしたように見えた。      そこでやっと地球人はベイ将軍の助けのおかげでテレビの前から解放され、苦行のような正座からも解放されたのだ。  さて問題はこれからだ。  人々はベイ将軍から普段通り過ごして良いと言われたものの、どう過ごせば良いのか誰も分からなかった。何せ滅亡を宣言されているのであるから仕事どころではない。しかし刑罰が、手を下さず「放置」とはどういう意味なのだろう。  そんな困惑の中、ある国ではやっぱり暴動や強奪騒ぎが起きた。    街のショーウィンドーは割られ、車はひっくり返され燃やされて、スーパーマーケットからはカート一杯に食料を盗む輩が押し合いへし合いで、見事なクズっぷりを発揮していた。人類が滅亡するという間際になってまで、彼らは悪さをしないと死ぬくらいの勢いで悪行三昧に走っている。人類滅亡など何かの冗談だとしか思っていないようだ。  
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