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10. SIDE 那月
涼(佐倉じゃなくて名前で呼んで欲しいって言われた)を病院まで連れて来た。
送り迎えだけのつもりだったのだが、
整形外科勤務の同僚に「お前どうせ暇なんだから、暇なら手伝え。お前の連れなんだろ。」
と言われて手伝うことになった。
勝手に俺を暇人認定してんじゃねぇ。
俺が暇じゃなかったらどうすんだよ。
診察とレントゲンの結果、骨折ではなかったのは心底良かったと思う。
しかしストレス撮影をすることになってしまった。
ストレス撮影とは、患部をわざと捻った方向に曲げて靭帯の損傷具合を確かめる方法。
かなりの痛みを伴うため、大人でも泣き出す人がいたくらいだ。
ちなみに俺も一度やったことがある。あれは冗談抜きで、クソいてぇ。
涼はストレス撮影を知らないみたいだったので最初はキョトンとしていたが、説明したら分かりやすく顔が青ざめていった。
「大丈夫だ、深呼吸しろ。レントゲン自体は一瞬だからな、すぐ終わらせる。」
「は、はい、、、」
痛いことをされると、身を固くして震える涼は20代の男とは思えないくらい可愛らしい。
昨日より少し腫れが引いたものの、まだ痛々しさを主張している彼の足首に手を添えると、涼が不安そうな顔で見上げてきた。
「(かわいい。)少し曲げるから、、、ちょっと我慢な。」
「っ、痛い、、」
俺が手で動かしただけで痛いなら
ストレス撮影はかなり痛むだろう。
「深呼吸してろよ。」
足首を少し曲げ、そこから少しずつ動かして捻った時と同じ状態にする。しかもそのまま機械にセットする。
これが痛いんだよなぁ。
「〜〜〜〜っ!!、、、いたぁ、痛い!那月さんっっ!!!た、すけ、て、、、」
目に涙を溜めながら、必死に俺を探して名前を呼ぶ涼。
そんな彼をみると、何とも言えない気持ちが湧き上がって来る。
どうやら俺は涼に惚れてしまったらしい。
いや、マジかよ。
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