3. SIDE 那月

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3. SIDE 那月

「(あ"〜、こんな時間になるなら泊まっていけばよかったな。)」 盛大に舌打ちしながら歩いていると人の目が集まったのが分かる。 昔から、女みたいな名前の割にガタイのいい体つきと鋭い目は、初見の人には怖がられることも少なくない。 さらに、時間が時間なだけにカタギの人間には見えないのかもしれないが、俺は普通に一般人だ。 帰るのがだいぶ遅くなってしまったが、仕事柄、このくらいの時間に帰るのも珍しくない。 いつも通り自宅アパートの階段を上がっていると、階段の途中に座り込む影が見える。 酔っ払いが寝ているのかとスルーしようとした。 しかし、よく見てみると蹲っているものの寝ているわけではなさそうだ。 (体調不良か?んー、気づいてなさそうだし声かけるとするか。) 「おい、体調でも悪いのか?何でこんな所で座り込んでんだ。」
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