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声に反応してその男はのそりと顔を上げた。 見たところ20代半ばってところだろう。ちなみに俺はアラサーだ。 顔色はあまり良くなさそうだが、特別悪いと言うわけでもなさそうで一先ず安心する。 「何かあったのか?」 「あ、いや、、えっと、、、その、恥ずかしながら階段を踏み外した時に足首を痛めてしまったようでして。」 「(応急処置しとくか。後は勝手に何とかしてくれ。)あーなるほど。どっちの足だ?」 「へ?あぁ、右足です。なんかすみません。」 「構わん、少し触るぞ。」 何処となくバツの悪そうな顔しながら男が答えた内容に、知らんふりをするわけにもいかなくなった。 向こうも自分では他にどうしようも出来ないと判断したようで戸惑いながらも説明してきた。 男は佐倉涼と言うらしい。 とりあえず捻ったらしい右足を持ち上げると、それだけでも痛むようで佐倉は顔を歪めている。 「(こりゃ、思ったより酷そうだな。)」 なるべく負担をかけないように気をつけるものの、だいぶ腫れて来ているようで革靴を脱がせるのに苦労した。
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