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靴下の上からでも分かる腫れに眉を顰める。 「これやったの今さっきじゃないだろ。」 「そうですね、1時間ほど前です。少し寝てしまって、、、」 「はぁ!?寝ただと?よく寝れたな。逆に感心する。」 「ははは、酔っ払っていたので。」 そう苦笑していた佐倉だったが、さすがに靴下を脱がせている間は静かに痛みに耐えていた。 なんとか靴を脱がした末に出てきた足首は、赤紫色になってかなり腫れ上がっている。 捻ったとは言っていたが、腫れ具合から骨折の可能性も出てきた。 「痛いとは思うが、少し動かすことは出来るか?」 「はい、、、!!痛、、」 「んー、一応動かせるみたいだし、パッと見た感じも脱臼とかはしてなさそうだな。うん、あからさまな骨折もなさそうだ。」 「あ"ぅぅ、、痛いです。。」 眉を下げながら静かに痛みを訴える男が、なんだか可愛く見えて庇護欲が湧いて来た。 いや、今はそんなこと言ってる場合じゃない。 あまりの腫れように骨折も疑ってはいるが、今のところどちらとも言えないので、もう少し見させてもらうことにした。 「捻ったのは内側っつーことでいいんだよな?あーっと、悪いがちょいと触る。」 一応断りを入れて、軽く動かしたり押したりして骨に異常がないか調べる。 「〜〜〜〜〜っっ!!い"った、、、そこっ、特に、痛い、、です、、」 少しの刺激でも、腫れ上がった足は痛みに変えてしまうらしい。 良くてもグレードⅡの捻挫だな、なんて考える。 俺は一応医者で、しかも整形外科医。 そのため知識と経験があったのが役に立った。
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