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 その日から、忌み子はひとことも話さなくなった。  声をかけられても答えず、そのために殴られても何も言わず、折檻として三日三晩食事を与えられずとも(うめ)き声ひとつあげなかった。  なぜ何も言わないのかと女が問うた。忌み子は何も答えなかった。  理由だけでも教えろと女が問うた。忌み子は何も答えなかった。  ずっと黙っているつもりかと女が問うた。忌み子は何も答えず女を睨んだ。  女は、そうかわかったと言って(うなず)き、話さなくてもいいが仕事はこなせとだけ命じて、立ち去った。
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