【書籍化作品】ひょっとこさんの顔

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 27歳の僕。 「ではベールをあげてください。誓いのキスを」  神父が厳かに言った。  僕は左側に立つ美咲と向き合って、そっとベールを上げた。  純白のウェディングドレスを着た美咲は美しかった。そう、小さい頃から、美咲は僕の全てだった。  美咲の目が潤んでいた。僕も目頭が熱くなってきた。  僕は美咲の肩に手を添えて顔を近づけ……『ひょっとこさんの顔』をした。  目を閉じる直前の美咲が僕の顔を見て吹き出すと、会場がざわめいた。  美咲は笑いながら僕をかわいくにらみつけた。 「もぉ! ほんとバカなんだから!」  美咲は僕の首に手を回し、勢いよく唇を重ねた。
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